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旧文具店改装しギャラリーに 辰野の藤森さん

旧山寺文具店を改装したギャラリーで展示本番を心待ちにする藤森弘正さん

辰野町平出の藤森弘正さん(83)が、今年5月に60年間の営業を終えて閉店した自身の店舗・旧山寺文具店を、絵画ギャラリーに改装した。店じまいを惜しむ地元の声を励みに、同町地域おこし協力隊などの支援で店内を整理し、長年描いてきた日本画を飾った。健康に気をつけながら年数回のペースで開放して、美術の魅力発信や各世代との親睦を図りたい考えだ。ともに歴史を歩んだ道路向かいの辰野中学校の文化祭に合わせ、28~30日に初回展示を開く。

旧山寺文具店は1958年、町内にあった親店舗の支店として開業。藤森さんが家業を継ぐ形で運営を担い、同年に統合開校した辰野中など町内各学校の子どもたちや住民に文具を提供してきた。

藤森さんは店を切り盛りする傍ら、空いた時間は日本画制作に没頭。信州美術会や伊那美術協会の会員に名を連ね、辰野美術会会長も歴任した。年齢を重ねる中で文具店の幕引きを意識するようになり、体調を崩したこともあって今春限りの閉店を決めた。

店舗は当初そのままにする予定だったが、同町地域おこし協力隊の木建景(きだて・けい)さん(41)=京都府出身=から「学生が行き交い、文化発信に最適な場所。空き店舗にせず活用するべき」と助言を受け、一念発起。小中学校や保育園へ文具を寄贈して在庫品を整理した後、家族や木建さんら協力隊員と商品棚を処分したり、内壁を塗装したりと手作業でギャラリーへ改装した。

ギャラリーに整然と飾った日本画は、1970年県展で知事賞を受けた「篁(たかむら)」をはじめ、中尊寺金色堂や東大寺の仏像、駒ケ岳の遠望風景、旅先のエジプトで心を奪われたスフィンクスなど30点余り。二十歳の頃からたゆまず描き続け、独自の描写と色彩美を確立した作品の数々が白い壁に映える。

藤森さんは「閉店の知らせを聞き訪れた辰野中卒業生や絵の仲間から、励ましの言葉や感謝の手紙をいただいた。自分の店にこんな形で絵を飾れるとは思わなかった」と感慨ひとしおの様子。「限られた期間の開放だが、店を懐かしむ人が気軽に集い、子どもや若者が絵を描きたいと思ってくれれば」と話している。

展示は3日間とも午前8時~午後5時。入場無料。辰野中文化祭「欅樹學(きょじゅこう)祭」の協力企画で、会期中は同校の駐車場を利用できる。